大阪府箕面市の教育データを活用した取り組みが素晴らしい!

大阪府箕面市の「子どもステップアップ調査」の取組について、スマートスクール構想検討WG配布資料で紹介されています。データを活用した学校経営として、非常に参考になる事例なので、ブログに備忘録として少し要点をまとめておきます。


 1.データに基づいた教職員の指導力向上の取組

 まず1点目が、「子どもステップアップ調査」のデータをもとに、教員の指導結果を客観的に把握し、教員の指導力向上に取り組んでいることです。
 大阪府箕面市では、小学校1年生~中学校3年生まで全9学年で、毎年、子どもたち一人ひとりの状況を、全方面(学力、体力、生活)について調査しており、その結果を活用して、教員の指導結果を把握することで、教員の指導力や適性把握に取り組んでおられます。
 具体的には、調査データを基に児童の学力の経年変化を追うことで、ある先生が担任したクラスが、その担任の先生の下で、学力にどういった変化が生じているかを把握しています。スマートスクール構想検討WG配布資料の6ページ目がわかりやすいです。

 この例では、E教諭について、分析した例を紹介しています。
 

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 これは、「子どもステップアップ調査」経年データから、H25年度時点で5年1組であった児童それぞれの前年データを集計し、そのデータと5年1組時点の調査データと比較することで、E教諭の指導の結果どのような変化が生じているかを把握しています。
 事例では、偏差値によって計っているようです。

 E教諭の担任によって、H25年度時点の5年1組では、社会の偏差値が前年より伸びていることがわかる結果(51.9→54.7)になっています。H26年度時点の担任クラスの変化においても、同様に社会の偏差値が上昇していることから、E教諭は社会の指導力が高いことが伺えるという判断できます。
 一方で、E教諭の担任クラスでは、算数の偏差値が下がっている傾向がうかがえるので、算数の指導力に課題があることがわかります。
 
 こうしたデータを活用し、教員の個票までを作成することで、指導育成に活用している例も紹介されています。(資料p.9)

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 このように客観的に教員の指導結果を把握することに取り組んでいることから、正にエビデンスに基づいた教員の指導力向上に取り組むことができますし、教員評価においても納得感のある評価につながると感じます。

 2.学級経営力を客観的に計る取組


 次に素晴らしいのは、学級経営力を客観的に計る取組です。
 この点については、学級の絆や学級の規範意識といった、数値では図ることが難しい部分について、質問事項を作成し調査することによって、学級の絆や規範意識定量的に計ることができるよう指標開発している点が素晴らしいポイントです。

 質問としては、クラスには、リーダーにふさわしい人がいるか、クラスにはいいところがあるか。球技大会やクラスの発表会があるとき、団結するか?といったクラスの絆を測るための質問を調査することで、その回答データを活用し、その集計データをもとに、学級経営力を計っています。

 また、悪化している項目などを把握することで、学級崩壊の兆候を早期に把握するなどの取組に活用しており、非常に有益なデータ活用の取組と感じます。 

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 すべての学校がこうした経年データを調査取得し、教員指導や学級経営に活用していってほしいと感じる取組ですし、多くの学校は参考にしてほしいと思う取り組みです。
 実際にこのような取組をやろうとすると、データの集計や結果出力作業等に時間がかかりそうなので、その点はどのようにやっているのか?より詳細に知りたいところです。

 その点個人的には、タブレット等を使ってアンケート回答・集計、結果表示のようなシステムが構築できれば、他の学校への水平展開も容易だと思うので、そういった取り組みも期待したいところです。

 本件については、以下の記事も非常に参考になりますので、合わせてご覧いただくと、大阪府箕面市のこの取り組みの素晴らしいさがよく理解できるかと思います。
 ご参考まで。

www.holg.jp

以上、箕面市の「子どもステップアップ調査」の実践事例の紹介でした。