通信制の中学校は基本的に認められていない

先日、堀江貴文氏主宰の新しい高等学院、ゼロ高等学院(ゼロ高)が10月に開校するとのニュースを受けて、下記の記事を書きました。

written-by-k.hatenablog.com

 

堀江氏のゼロ高等学院は、通信制高校と教育連携することで、高卒資格を取得することが可能であり、いわゆる高校段階の教育を提供する学校となっています。

このスキームを受け、通信制高校と連携した民間教育機関は、学校法人を設立する必要もなく比較的低コストで学校を始めることができるなっと感じたところですが、じゃあ中学校段階で同様のスキームはできないのかな?と思い、調べてみました。

結論からいうと、現行法においては、出来ないとのことです。
義務教育年齢の子どもに対して、通信教育を行う中学校自体が認められていないからです。

この点について、「小中学校にも通信教育を認めるべき ― 国家戦略特区での導入も ― 亀田 徹(政策シンクタンク PHP総研 主席研究員)」の記事(※1)が分かり易かったので、引用しつつ、触れていこうと思います。

学校教育法には「中学校は、当分の間、尋常小学校卒業者及び国民学校初等科修了者に対して、通信による教育を行うことができる」との規定があり、中学校での通信教育を認める余地があることがわかる。この規定は戦前の制度の経過的な措置として定められ、義務教育年齢を超えた人のみを対象として中学校での通信教育が行われている。

 

これまでも、中学校における通信教育について、たとえば構造改革特区で実施するとの提案もあった。だが国は、「児童生徒と教師、あるいは児童生徒同士の人間的なかかわりを深め、児童生徒の社会性や豊かな人間性をはぐくむことが極めて重要」であるとして通信教育を認めていない。


とあるとおり、学校教育法上は、この「通信による教育を行うことができる」との規定は、戦後の教育を受けたものは通信制中学に入学できないことなっています。

上記の引用にもある通り、この規定については、過去、構造改革特区での緩和してほしい(通信制中学の入学要件の撤廃してほしい)旨の提案が民間事業者からなされています。(※2)
要するに、通信制中学に、通常の年齢(13歳とか)の子どもが入学できるようにしてほしいという提案です。しかしながら、国は、「児童生徒と教師、あるいは児童生徒同士の人間的なかかわりを深め、児童生徒の社会性や豊かな人間性をはぐくむことが極めて重要」であるとして、通信制中学の入学要件を撤廃することは、不適切として回答しています。(※2)

国の言い分としては、不登校児童生徒に対する支援としては、自宅でIT等を活用して行った学習活動などを出席扱いとする措置をとっていることから、通学が困難な不登校児童生徒に対する教育上の措置は行っている、つまり、中学校段階における通信教育については、不登校児童生徒を対象とする現状の仕組みで十分というという判断のようですが、それでいいのでしょうか。

中学校の通信教育が認められれば、不登校児童とみなされなくとも、自ら通信制中学を希望したいこどもが入学できることになり、より多様な教育機関が増えていくのではないかと思います。

それこそ、スポーツに特化した中高一貫通信制学校(例えばFC〇〇中高一貫校)などが出てくるのはないかと思います。

多様な教育がより増えていくためにも、今後具体的に行政に働きかける民間の教育機関が現れてる来ることをしたいと思います。

※1 小中学校にも通信教育を認めるべき ― 国家戦略特区での導入も ―
   亀田 徹(政策シンクタンク PHP総研 主席研究員)
   https://shuchi.php.co.jp/article/1792
※2 文部科学省 構造改革特区第19次 再検討要請
   https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kouzou2/kentou/110106/monka_k.pdf